見た目が一番 (若返り)
発掘品です。
2008年はじめに若返り急成長掲示板に投稿したものです。
消える前のブログには載せたかな~・・・。
若返りオンリーなので、載せてないかもしれない。
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幾度かの地球規模の大災害を経た人類は、一部の富裕者層と貧困者層が神と人間と呼ばれるほどに二極化が進んでいた。
荒廃した地下街に住む者た ちは、神たちに比べ2世紀は後退した生活を送っていた。神と呼ばれる者たちは、超高層構造物において高度な科学技術を保持したまま生活を送っていた。宇宙 まで進出しているという彼らは、地を這うものたちのとっては本当の神と言ってもおかしくないのである。
今、地下街は、ある話題でもちきりだった。
「聞いたか、また、天に昇る者の選別があるんだってよ」
「ああ、でも、どうせまた、美人とかハンサムなんだろ? 俺なんて鼻もひっかけてもらえねーよ」
神と呼ばれる者たちは、数こそ少ないが、選別と称して新たな住人を時々加えているのだ。そして、それは人間たちにとって、天に昇るというべき救いの道なのである。当然、地下街の生活に満足しているという者もいるが、いい暮らしに憧れを持たないものはいない。
「まぁ、そうなんだよな・・・。前の選別の時は、マドルスの娘だったよな。超美人だったよな。今頃、いいもん食ってるんだろうなー」
2人の男は、決しておいしくはない酒を飲み交わしながら、そんな話を続けていた。そして、それは、ほとんどの者たちの注目するイベントなのだ。容貌に自信のある者の多くは、着飾り、化粧を施し、神たちの眼鏡にかなうようにと色々対策を練っているのだ。
神たちはどうやって選別を行っているのかは公表していない。ある日突然、上から降りてきて指名するのだ。
直接関係があるかは分からないのにも関わらず、神たちの来訪が告げられると街の空気が変わる。今もエネルギー供給について地下街の長への通達が持ってこられるというだけで、若い男女は色めきたった。
「ちょっと、ばあさん、どいてくれよ」
地下街の片隅で繕い物をして生計を立てているゼッタばあさんがよろよろと歩く脇を、髪をなでつけた若い男が走り抜けていった。
「あぁ」
男にわずかに触れてしまい、バランスをくずしたゼッタは側にある壁にもたれかかってなんとか転ぶのを回避した。
「天なんて何がいいんだろうねー」
ゼッタは身寄りがなく、もう何も必要としていない。地下街も住めば都なのだ。
数日後、数名の神が降りてきた。今回は完全に選別目的であることが告げられた。そして、彼らはゼッタを指名した。ゼッタは、皺でくしゃくしゃになった顔を さらにくしゃくしゃにして驚きを表した。何とか居住まいを正そうとしたが、もう何年も切っていない髪は白くなっている。
それから地下街はゼッタの選別以前よりも更なる騒ぎになった。今までは、美しい者達が選ばれていたのだ。選別の原因がいろいろ推測された。
「あれはな、きっとあのばあさんが、神の誰かのおっかさんだからさ」
「いや、ばあさんとは仮の姿、実は宇宙人なのさ」
「それ、いきすぎでしょう」
ゼッタをよく知る者たちはこう言っていた。
「おばーちゃんね、よく街のお掃除してた」
「ゼッタさんかい? あの人はやさしい人でな。よく近所の子供たちの面倒を見ていたよ」
「ばーさん? よく説教されたよ。規則正しい生活とか、人をいたわれとかな」
そんな話を聞いた者たちは、次なるゼッタを目指して生活改善を図っていた。選抜規定が容貌だけではなく、品性なども含まれるものと考えられ、地下街全体の雰囲気が改善されていった。小さな事だが、他人を思いやる行動が見られるようになっていった。
天に昇ったゼッタは一体どうしたのか。
「やっぱりね。あなたの容貌はわれわれの基準値をはるかに上回りますね」
ゼッタは連れて来られてすぐに球状の機器に放り込まれた。そして一晩を経て、80歳を越えていたゼッタの姿は、20歳の頃のそれに変わっていた。
「これは一体・・・。私、こんな」
「古い資料にあったんですよ、1次大災害の以前にあなたのピンナップ写真がね。あはは」
ゼッタは小さな布で作られている水着を着ており、押し上げているつんと上を向いた胸と張りのある肌を晒していた。
「はい、これであなたは上層区域の国民ですよ。あなたならモデルもできますよ」
下層の巻き起こっている風紀向上をよそに、ゼッタの美貌は神の間で一大ブームを築いていった。
