今日は女の子


2007.03.09
作:石山

  それは些細な一言から始まった。

「おまえが女の子ならな・・・」

 今日はクリスマスイブだから仕方ないかもしれないが、健司の愚痴は日に日に目立ってくる。健司はプーで、俺はフリーター。健司は顔も頭もあるのに、日がな一日部屋にこもってネットをやっている。大学も一流と呼ばれる所を出たのに関わらずだ。

「そんなに言うならいつものネトゲやってりゃいいだろ」
「なんだと、お前だってクリスマスは彼女とデートだって見栄はってバイトの休みとったんだろう。ネトゲ仲間に対する俺の見栄とどうちがう。はぁー、ゲーセンにもやたらカップルが多くて嫌になるな」

 さっきからこの調子だ。俺だって野郎二人でこの雰囲気の中にいるのは居心地が悪いんだ。

「仕方ない・・・ちょっと待ってろ」
「ん、合コンでもセッティングしてくれんのか・・・って、んなわけないよなーははは」

 笑いたければ笑えばいい。ゲームセンターの汚い便所に入った俺は、青い石のネックレスを握った。

「さあて、願いを叶えてみますか・・・」

 

 格闘ゲームの画面にYou Loseの文字が浮かび、健司がうなだれている。その背後から息を吹きかけるようにささやいてやる。

「おまたせ、けーんーじ」
「は、え・・・どなたですか。ど、どこかでお会いしましたですか」

 相当驚いているようだが、しっかり俺の胸を凝視しているのはこいつらしい。

「俺だよ。きよひこだよ。まー、分かる訳ないよな。こんな美少女じゃ。お前って少女趣味はいってるんだな」

 ピンクの唇からソプラノの声でネタばらしをしてやる。しかし、これで信じられるやつもいないだろうけど・・・。ここは、俺しか知らない事を並べ立てるとかが定石だったか。

「わー、驚いた驚いた、そういうことかー。きよひこかー。よしよしデートしよう」
「へ?ちょっと・・・」

 健司は俺の手をおそるおそる握ると駆け出した。そのまま、健司と俺はゲーセンを抜け出した。

 

 俺たちは、駆け足のまま交差点を三つ越えて駅の地下街へと入った。

「来ないな・・・。まいたか」
「健司?」

 いきなりの駆け足もよくわからんが、何でこんなに挙動不審なんだ。

「君、きよひことどんな関係?妹・・・は二人いるって聞いた事ないし。でも、どっきり不成功だったね」

 あー、どっきりか。その手もいいな。

「あーん、もう。健司さん、鋭いよー。きよひこ君がっくりしてるよ、きっと」
「やっぱり、どっきりだったんだね。ダメだよ、あんな怪しい男の口車にのっちゃ」

 怪しいって確かにお前みたいなジャニーズ系じゃないけどよ。でもまぁ、最後に種明かししてやるのも悪くない。

「あたし、きよ、京子って言います。きよひこさんとはバイト先が一緒なんです。でも、今日はデートする相手がいなくって、街でお買い物してたんです」
「なるほどねー、それできよひこに捕まったってわけか・・・じゃあ、きよひこ探しに戻ろうか」

 こいつの悪い癖が出たな。もっと積極的にいけよ。理想的な相手のはずだろ。

「健司さん。よかったら私とデートしてくださいませんか」
「えええええ」

 再びきょろきょろと見回す健司。誰も撮ってねーよ。

「どっきりじゃありません・・・。あの、健司さん、あたしのタイプなんです。あたしじゃダメですか」

 上目遣いで眼を潤ませながら・・・こんな感じか。健司が真っ赤になったところを見ると成功だな。

「あの・・・えと」
「いきましょ、ね。健司さん」

 俺は、健司の腕をとると歩き出した。こいつボンボンだから小遣いはいっぱいもってるんだよな。ここは、どこまで引き出せるか試してみるか。

 

「健司さん、これとって」
「まかせといて、俺こういうの得意なんだ」

 さっきとは違うゲームセンターの前で恋人同士のようにはしゃいでいる。さっきまでの俺たちのような男たちが苦々しい表情でこちらを見てくる。さらに俺の顔とか胸とか足とかに視線を感じる。堂々としたもんだな、おまえら・・・。

「こいつが面食いだとは思ってたが、これほどとはなー」

 今の俺は、歳は18、9で、顔はおっとり系の童顔かな。体は顔に似合わずすごいグラマーだな。むむ、胸が重い。

「と、とれたー」
「わーい、ありがとー。でも、お金そんなに使っちゃっても大丈夫?」
 5千円ほどつぎ込んでたよな。
「大丈夫大丈夫、この前ネトゲの装備が売れ、いやいや、ボーナスがでたからね」

 なんだ?サラリーマン設定か。バイトもした事ないくせに。まぁいいや。

「ほんとにここなの・・・?」

 バカ高そうな店にきたけど、ほんとにここか。フランス料理か?いつも俺たちがいく牛丼とかファミレスとかじゃないのかよ。

「ここ、おいしいよ。これとこれがおいしんだけど・・・」
「健司さんにお任せしますね。あたし,こういう所はじめてで。・・・・あのよく来られるんですか。こういうお店」
「両親とね。おふくろがこういう店が好きでね。よく来てたんだ」

 へぇ、そういえば、おふくろさんグルメっていうか、料理好きだったよな。しかし、最近きてないのかな。

「じゃあ、乾杯でもしようか。すこしなら飲めるかい」
「ええ、大丈夫よ」

ザルのきよひことは俺の事だ。しかし、そこで俺の意識は途切れてしまった。

 

 誰かが俺の事を揺すってくる。

「京子ちゃん、京子ちゃん。大丈夫かい」

 健司が目の前にいた。どうやら健司の部屋にいるらしい。もしかして、肉体変化のせいで酒に弱くなってたか・・・。仕方ないテストはこの辺でおしまいだな。そろそろ健司に本当のことを話してやるか。ん、あれ・・・おかしいぞ。

「京子ちゃん、どうしたの?気分悪いかい」
「いいえ、健司さん、もう大丈夫。でも、ここがちょっと苦しいかな」

 おい、何を言ってるんだ。健司の手なんかつかんで、おい胸なんか掴ませるんじゃない。

「健司さんの事、本当に好きになっちゃった。健司さんは、私の事嫌い?」

 あ・・・、これはあれか。そうだ、オートだ。意識失ったからスイッチが入ったのかって分かってもどうにもならんのかこれ。落ち着け落ち着け・・・わー、脱ぐな。健司も脱がすな。

「いいんだね」
「ええ」

 よくないぞ、よくない。そんな舌なんてつっこむなよ。いきなりベロちゅーかよ。どこでこんなの覚えてきたんだ。俺と同じ童貞のはずだろ、おい。俺のはじめてのキスの相手が健司とか冗談じゃねえ。

「つけた方がいいよね・・・」
「そうね、私がつけてあげる」

 健司、お前いつの間にそんなものを用意してたんだ。って、みたくねー。そんな物しまえって。うわー、掴んじまった。

「健司さん、とってもおっきい」

 眼を閉じてくれたか。よかった・・・、あれ、俺、何かをしゃぶり始めてるんですが。それも生暖かい棒なんですが。ぬあー。
ちゅぱちゅぱちゅぱとおいしそうな音がする。

「京子ちゃん・・・んく」

 気色悪い声だすな健司・・・。うう、なんか体がうずいてきた。あれ、なんだか。

「さきにいっちゃだめよー。私も気持ちよくしてくれなくちゃ」

 そうだぞ、お前ばっかり・・・いやいや、違う何かが違う。何だっけ。

「ええと、こうだっけ・・・」
「うん、そこ。もっとかき回して」

 股の間に頭をうずめている健司からぴちゃぴちゃと卑猥な音がする。ああ、女って気持ちいいんだな。しかし、健司もっと強くなめろよ。そこだ、そこ。そこがクリトリスか、だめだ、なんかもの足りない。健司下手すぎる・・・。

「お願い、そろそろいれて」
「わ、わかった」

 健司は何度か失敗した後、俺の中へと自分自身を俺のあそこに入れた。

「う、うごいて。私は大丈夫だから」

 入れたまま、硬直している健司がぼそっとつぶやく。

「俺もう・・・」

 どくどくどくと俺の中で何かが噴射されてる感じがする。先にいきやがったのか、この野郎。せっかくいけると思ってたのによ。まったく健司の野郎。

「ばかか、もうちょっとの我慢ぐらいできるだろう」
「きょ、京子ちゃん」

 泣きそうな顔をした健司が萎えかけたいちもつを抜く事もなくその場に硬直した。

「あ、自由になった。そうか、願い完了時にオートの自動解除か」

 俺は、祈願成就下請連合、略して下連の一人だったりする。多忙な神様に変わってささいな願いを叶えるのが下連の仕事である。もちろん報酬もあり。ちなみに下連は、世襲制で、俺は先週親父から託されたんだが、親父・・・説明不足すぎだろ。

「あの・・・」

 健司は、ますます縮こまったちんこを隠している。

「とりあえず服を着ろ。話はそれからだ」

 俺はでかい胸をそらして、ウインクをした。



あとがき

この作品は記念すべきTS第1作品です。エロを入れたという意味でも初めてでした。
健司と清彦という2人のでこぼこコンビの掛け合いが書きたいなと思っていました。祈願成就下請連合という設定は、元々ファンタジーよりな作品を書いていたため、シリアスな部分、科学考証の不要な何でもありな設定ということで思いつきました。

石山